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神労委平成27年(不)第27号 杉之間サービス不当労働行為 審査事件(概要情報)

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https://www.mhlw.go.jp/churoi/meirei_db/mei/m11820.html

神労委平成27年(不)第27号 杉之間サービス不当労働行為審査事件(概要情報)
1 不利益の存否
 平成26年9月分から平成27年2月分(以下「期間①」という。)に分会員らにそれぞれ支給された業績手当の合計額と同年3月分から8月分(以下「期間②」という。)に同人らにそれぞれ支給された業績手当の合計額を比較すると、A2については147,636円、A3については64,847円、A4については76,747円、A5については174,354円、A6については36,582円の減額が認められる。業績手当は、会社から分会員らに支給される賃金の一部を構成するものであり、期間②に分会員らに支給された業績手当の合計額が、期間①に比べてそれぞれ減少しているので、その限りでは分会員らに不利益が生じているといえる。
2 不当労働行為意思の存否
 組合は、会社の不当労働行為意思の表れとして、①分会結成前後6か月の業績手当について各分会員において差があること、②分会結成後の平成27年4月分から同年9月分として非分会員らに対し支給された業績手当の合計と同期間に分会員らに対し支給された業績手当の合計に差額があること、③会社が分会員らに対して配車差別を行っていること、④会社が、分会員らに対して、意図的に土曜日出勤を命じていないこと、⑤会社が、分会結成後、分会員らに対する注意勧告書等を濫発していることなどを主張するので、以下検討する。
(1)①及び②について
 分会結成前において、分会員らの業績手当が減額されている場合があること及び分会結成後において、同人らの業績手当が増額されている場合があることが認められる。また、分会結成後において、非分会員らの業績手当が減額されている場合があることも認められる。
 これらのことからすると、分会結成後における分会員らの業績手当の減額が、分会員であることを理由としてなされたものとは認められない。
(2)③について
 配車差別については、委員会が組合に対し釈明を求めたにもかかわらず、組合からは単に主張がなされているのみで、差別の存在自体何らの立証もなされていない。
 したがって、配車差別に係る組合の主張には理由がない。
(3)④について
 法定休日とは、労働基準法第35条に規定されるもので、必ずしも会社所定の休日と一致するものではない。また、会社が分会員らに交付した雇用契約書兼労働条件通知書には、土曜日については時間外労働扱いで月3日程度との記載がある。これらのことからすれば、会社における土曜日は法定休日には該当せず、土曜日出動については法定休日手当として20,000円が支払われるべきであるとの組合の主張は採用できない。加えて、会社は、平成26年12月20日に分会員らを含む従業員に対して、土曜日が時間外労働扱いであることについて周知を行っており、また、会社作成に係る平成27年6月4日付け「回答書」においても、組合に対して同様の説明をしている。そうであるにもかかわらず組合は、同年7月末、会社に対し、自ら土曜日出勤について協力できない旨の発言をしている。これらのことを併せ考えると、会社が、同年7月未以降、分会員らに対して土曜日出勤を命じなかったのは、組合嫌悪によるものではなく、同人らの土曜日出動に協力できない旨の発言が原因であるというべきである。
 また、分会員らは、分会結成後も、平成27年7月末までの間は土曜日出勤をしていたことが認められる。
 以上のことからすれば、土曜日出勤に係る組合の主張には理由がない。
(4)⑤について
 会社が、A2に対して、分会結成前の時点においても分会結成後と類似の内容の注意勧告等を行っていること、会社が、非分会員に対しても、分会結成後、分会員らと類似の内容の注意勧告等を行っていることからすると、分会結成後に分会員らのみを狙って注意勧告等がなされたとは言い難い。
 加えて、組合及び分会員らが、会社による同人らに対する注意勧告書等の内容について、個別具体的な反論を行っていない一方で、注意勧告書等に記載された分会員らの言動は個別具体的なものであり、会社がことさらに分会員らの素行不良の事実を作出していたという事実も認められない。また、注意勧告書等に記載された分会員らの言動に対する会社の対応は、就業規則や宣誓書、安全運転指針などの根拠を示した上での文書指導レベルに留まっており、就業規則上の制裁までは行っていないことが認められる。そうすると、本件注意勧告等は、分会員らの就労態度の改善を目的として行われたものであると考えられる。
 分会結成後の本件注意勧告等の回数が分会結成前に比べて増加したのは、同人らの就労態度に原因があると考えるのが相当である。
 以上のことからすれば、会社が、分会結成後に分会員らに対して、注意勧告書等を濫発しているという組合の主張には理由がない。
(5)その他本件における会社の対応等について
 組合と会社は、本件申立て以前に3回、申立て後においても、立会団交を含め複数回にわたって団交を行っている。その経過を見ると、会社は、組合の要求に対し、その都度口頭で回答し、またはその場で即座に回答できない事項については後日文書で回答するなどしている。また、その内容も、個人別の売上げについては問合せがあれば、当該個人に対して開示する用意があるとするなど、組合対応としては妥当なものであると考えられる。特に立会団交においては、口頭ではあるものの、分会員及び非分会員の業績手当の計算の過程について、具体的な数字を算定方式にあてはめながら説明を行っている。確かに組合のいうとおり、後日その説明の元となった書類をすぐさま組合及び委員会に提出しなかったことは認められるが、組合の求める説明を一応行っていることに鑑みれば、全体として会社の対応に非難すべきところはないといえる。
(6)小括
 分会員らにおいて、出勤日数及び労働時間に比例する法定給の額が土曜日出勤を行っている非分会員らに比べて減少するのは当然であり、会社所定の休日に出勤したことによる会社への貢献度という点などで、業績手当を構成する調整額の算定において会社から消極的な評価を受けることもやむを得ないものといえる。そうすると、分会員らの業績手当が減額されたことには合理的な理由があり、会社に反組合的な意思を認めることはできない。このことと、上記(5)で判断したこと及び本件申立事実との関係で、平成27年9月分支給以降、新たに会社に反組合的な意思が生じたことをうかがわせる事情も認められないことを併せ考えると、本件において、会社に不当労働行為意思を認めることはできない。
3 結論
 したがって、会社が、分会員らの業績手当について、分会結成後、分会結成前に比して減額する取扱いを行い、平成27年9月分以降も同様の取扱いを行ったことは、分会員であることを理由として行った不利益取扱いに当たらず、本件において、労働組合法第7条第1号の不当労働行為は成立しない。

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